2014年02月25日

スバルとレヴォーグに物申す!

  日本メーカーによる中型車の新規車種投入と聞けば、クルマ好きなら最高にアドレナリンが分泌されるニュースなのですよね・・・。もう当分は無いかなと半分諦めていたところに、いざ登場するといまいち脳みそが正常に判断できなくなって、「このクルマはホンモノだろうか?」みたいなやや懐疑的な想いが湧いてしまいます。とりあえずそんなこと考えずに喜べばいいのでしょうけど・・・。

  スバルはレヴォーグについて上々の反響だとコメントしていますが、正直なところ私と同じような「???」な感想を持っている人は多いのではないですかね。そもそもなぜ今さら「ワゴン専用車」なの? 5ナンバーサイズのレガシィSWが復活すれば今でも売れると思っているのでしょうか? 

  スバルのラインナップを注意深く眺めれば、なんとなく投入の意図は理解できます。SUVでは満足できない「走り」を求める顧客からの要望が多いのが直接的な動機みたいです。それならばもっと判りやすくブランディングして「WRXワゴン」という名称でOKなんじゃないだろうか?なんで「レヴォーグ」という新規車名なのでしょうかね。スバルは欧州ブランドのように1つの車種をイヤーモデルで熟成させることを重んじるメーカーだったと思うのですが。

  強いて理由を考えるなら「メルセデスCLS」と同じ発想かもしれません。Eクラスベースなのに「CLS」という名称からSクラスの車格と錯覚させるトリック・・・。「レヴォーグ」の「レ」でレガシィを連想させる意図を感じます。インプレッサベースのクルマなのに・・・。レガシィ&ヴォーグの造語?

  周囲を煙に巻くようなデビューも演出としては結構なことだけども、スバル陣営はなぜこれほどまでに自信に満ちあふれているのか?1.6Lターボという欧州コンプ丸出しのエンジンに、車名同様にユーザー(特に輸入車愛好家)を上手く誘導しようという戦略が見え隠れします。スバルのFB16エンジンがデビューしたのは2011年のことですが、スバル内部ではすでにBMWなどの欧州車のベースエンジンに定着していた1.6Lターボをターゲットにしていたのでしょう。

  スポーツシーンでは実力が広く知れ渡っているスバルDITエンジンを、メインストリームでも主役にする!技術畑のメーカーで音頭をとるにはおあつらえ向きの「言葉」ですね。しかもスバルはボクサーエンジンの優越性から、1.6Tも2.0TもターゲットのBMWには必ず勝てると分かっているわけです。OEMされるなど大量生産されるBMWの汎用機を狙って、モータースポーツのベースエンジンブロックにもなる最新鋭のFA20DITを投入するなんて無慈悲なことが許されるのか・・・。何もしらない一般人は欧州の有名メーカーと同じフォーマットで圧倒的に優秀なターボエンジンを作ったスバルの企業努力を手放しで讃えるでしょうけど。

  百歩譲ってスバルのエンジン開発戦略が妥当だとしても、このレヴォーグを欧州市場に真っ先に投入するならわかるのですが、レヴォーグは現段階では国内専用モデルと発表されています。日本メーカーにはわざわざ1.6Lターボという設計を用いなくても、燃費と加速を両立させた素晴らしいエンジンはすでにいくつもあるわけで、日本市場で旧態依然な「平凡エンジン対決」というくだらない茶番を見せられる身にもなってほしいです。そのためにわざわざ1.6Lターボをレギュラー仕様にしてくるあたりに、スバルの根深い欧州コンプレックスを感じてしまうのです。そんなことやってる暇があったら独自HVを熟成させて!

  ホンダのように欧州車なんて何とも思ってないメーカーならば、独自のアイディアでこれまでになかった趣向のエンジンを作って当たり前のように世界を驚愕させます。日産のように技術に圧倒的な自信があるメーカーは3L直6ターボのBMWを3.7Lの大排気量NAエンジンで軽くヒネります。あと相手がポルシェだろうとも平気で宣戦布告して撃破します。それに比べてスバルは器が小さいのでは・・・。同様にセコい?ディーゼル作って欧州車に勝ったつもりでいる某日本メーカーもちょっとどうかと・・・。



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posted by のっち at 05:53| Comment(0) | スバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月19日

V型スカイラインはポルシェ級のトンガリ。

  「オヤジ車」というあんまり嬉しくない表現の代表格と言われるのが、国産車セダンでしょうか。この言葉の裏には見た目だけは立派な高級車然としているけど、中身は20年前のままで、いかにも大衆車のそれであり、高級車らしい先端機能なんてない!みたいな意味が込められているらしい。じゃあ中身もバッチリの高級車ってどんなクルマなのだろう?

  量産車の開発で最優先されるのは生産効率なので、理論的には各ジャンルのクルマは最適化された設計へと収束していく。そんな画一化された設計のクルマでは満足できないという一風変わった人々に支持されて成立しているのが、ポルシェ911のような尖ったクルマというわけだ。多少語弊があるかもしれないけど、要は最適化が十分にされていない時代遅れの設計にクルマ好きは熱狂し、1000万円以上のお金を支払う。

  一般的に日本車の設計思想は世界の最先端を行っていて、日本メーカーがかつて作り上げた大衆車の設計&技術が世界の様々な地域で生産に生かされている。ゆえに日本車は画一的な設計に陥りがちでつまらないという声も聞かれる。まあ外国メーカー車もやっていることはほぼ同じ。日本車そっくりの簡便な設計の輸入車なんてほぼ売れないから、これまで日本では見かけなかっただけだ。日産がドイツで売ってるピクソというAセグ車は日本では売っていない。しかしドイツではそのライバル車がいろいろなメーカーから発売されている。どれもこれも軽自動車よりも粗末な作りで、その中の1台がVWのup!だ。

  それに日本メーカーだって今もなお尖ったクルマを作りをやっている、それがポルシェ911のようにもて囃されたりしないだけだ。そんな尖った日本車の代表格がV36スカイラインだろうか。派生車のR35GT-Rはもちろんもっと過激なクルマなのだけど、そのベース車は400万円もしない価格設定で、高性能かつ高級感を帯びた中型セダンだ。

  このクルマは日本ではややマイナーな存在になっている。その理由は第2世代のスカイラインGT-R(R32~34)の人気が90年代から2000年代の初頭まで日本中を熱狂させた偉大な存在だったから。突如直列6気筒からV型6気筒にエンジンを積み替えて登場したのが、先代のV35スカイラインで、その基本設計を受け継いだのがこのV36スカイライン。V35の発売当初は34までの熱狂的なファンからの批判が噴出し、日本では予想以上の不人気車となったのだが、予想外にグローバル(特に北米)では着実にファンを増やしていった。

  どうやら北米仕様なので日本では不人気でOKという経営判断が最初からあったわけではなかったようだ。なんとV35発売の当初は北米で売る予定はなく、日本市場でのあまりの逆風にあわてて北米のインフィニティで発売することを後付けで決めたらしい。当時の北米のプレミアムセダン市場はメルセデスとBMWが支配していて、あろうことかその対抗モデルとして祭り挙げられた。北米インフィニティの回答は「2万ドルで売るならOK」というものだったらしい。

  さてV35とV36のスカイラインがなぜトンガリかと言うと、このクルマは他のメーカーのライバル車とは全く異なる設計思想で作られているからだ。ライバル「達」と異なる設計とはつまり流行に背を向けて、他がやらないような「矛盾」を孕んだ設計を使った結果、独特のクルマのキャラクターが生まれたということだ。

  スカイラインは他のDセグセダンと同じく、第一ターゲットをBMW3シリーズに定めて企画されたと言われている。しかし実際の開発者の言葉の中にはそれをハッキリと示唆するものはない。このクルマの開発者(Mさん)が語っていることは、「一流の開発者は自分の作品を作る。二流の開発者は過去のデータに頼って二番煎じばかりを作る。」だ。現実にはBMW3を狙った他の多くのライバルも決して「二番煎じ」のような薄い存在に終わるものは少なく、日産のMさんだけが一流というわけではない。むしろほとんどのメーカーで「一流」がタクトを奮っているといっていい。

  しかしその中でも「超一流」は誰か?となればそれはMさんだと認めざるを得ないほど、V35の個性には光るものがある。結果的にBMWを大きく上回る超高剛性のボディに4輪操舵(4WS)を組み込むことで、BMWを含むライバルが辿り着けない領域まで一気にクルマを仕上げてしまっているのだ。剛性を確保するためにクルマはとても重い。BMWの重さは前後重量配分に起因するらしいが、V35のそれは全く違っていて、最大の狙いはV6エンジンをムダに揺らさないで振動を押さえ込む為だそうだ。

  この事自体がこのクラスのクルマにとって大きく有益というわけではなく、直6からV6への変更を繕う苦肉の手段にも見える。しかし結果的に細長い直6よりもスクエアなV6の方がエンジン自体の剛性は圧倒的に上なので、重量を犠牲にしてでも振動を克服することで、クルマ全体の剛性感においてさりげなくBMWの先へと進んだ。ここまでが全くの計算づくめだ。重量が増すことでトラクションも稼げるし、重い車体をシャープに曲げるために4WSを無理やりに使った。

  クルマの開発におけるあらゆる条件は、有利だったり不利だったりするだろうが、そこで損得勘定0のクルマに仕上がるのか。あるいは多少は偏っていても全てを長所に変えたクルマ作りを目指すことで、キャラの立ったクルマになるのか。スカイラインの場合は日産という大きな傘の下で開発されたという幸運もあってのことだが、世界一のメカ好きなアメリカ人達がすぐにこのクルマの設計上の偉大さに気がついて絶賛し始めたのも当然のことだろう。

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 ↓参考文献の一つです。 

posted by のっち at 06:19| Comment(0) | 日産 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月11日

スバル・レヴォーグ 懐古主義が正義ということもある。

  「セダンとワゴンはもはや親戚ではなくなった。」スバルが言いたいことはつまりこういう事なんだと思う。セダンの向かうべき方向と、ワゴンを必要とする局面が大きく乖離しつつある。少なくとも日本ではそう感じる。セダンはどこまでも高級であるべきで、ワゴンは限りなく実用的であるべき。セダンやワゴンをわざわざ選ぶユーザーともなると、クルマへのイメージはより鮮明であり、ユーザーの嗜好に合わないとなると一切売れなくなる。

  現行レガシィB4はアイサイト登場以降、持ち直しつつあるけども登場からしばらくはスバル全体に重苦しい雰囲気を作り出すほど手応えのないクルマだった。しかもフラッグシップ車である。ブランドとして絶対にあってはならない非常事態だった。フラッグシップのセダンなのに、冴えないスタイリングで、駐車場でアウディやBMWに挟まれたら目も当てられない。日産(V36スカイライン)にもマツダ(GHアテンザ)にも完全に遅れをとった・・・。

  レガシィB4の最大の弱点はワゴンボディを優先に考えられた設計の上に作られたセダンだということは明らかだった。国産のライバルと比べてもサイズは最も小さいのに、水平対抗エンジンの搭載位置の関係で最も全高は高い設計になってしまう。そしてライト類などを含め保守的で地味なデザイン。全ラインナップがAWDなのに、国産Dセグでも最も安い価格帯、それでも人気が出ない。現代のセダンに要求されている大切な部分が欠落しているとしか言いようがない。

  同じようなラインナップのマツダはアテンザのFMCにあたって従来通りセダンとワゴンを設定した。しかしマツダも既にセダンとワゴンが親戚から他人に変わりつつあるのを感じていて、セダンとワゴンでホイールベースを変えるという芸の細かい方法を採った。マツダにも当然にスバルのような葛藤があったはずだ。アテンザにワゴンを作る必要はなく、アクセラのワゴンを設定すればいいのでは?と。それでもマツダがアテンザワゴンにこだわった訳は「プレミアムワゴン」としてDセグの車格を守るという選択と、ワゴンのデザインによっぽど自信があったのだと思う。実際にGJアテンザの出来映えは、ワゴンの為のデザインと言ってもいいくらいに近距離でも遠距離でも見事な造形美を誇っている。

  「アテンザのデザインは王道で素晴らしい。」これはあくまでマツダに好意的な人々の意見に過ぎない。スバルにはスバルの考え方があり、マツダが選択しなかったもう一つの方法を選んだわけだ。別にデザインでマツダほど自信を持っていないからというネガティブな理由ではなく、レガシィSWをインプレッサのワゴン(=レヴォーグ)へと切り替えることの方が得策と判断したのだろう。実はマツダのストイックなまでの美学をせせら笑っているくらいかもしれない。「Dセグワゴンの時代は終わった」と・・・。

  フラッグシップの十字架を背負い続けるアテンザワゴンと、その呪縛から逃れたレヴォーグ。わずかの隙もなく緻密にデザインをまとめあげたアテンザワゴンは見事にそのプレッシャーに打ち勝っている。だけれども実用車としてあまりにもキレイすぎる気もする。それがイマイチ気に入らないワゴンユーザーもいるだろう。

  一方でレヴォーグは自由だ。フラッグシップの呪縛が融けているので、乗り心地を犠牲にもできるし、デザインももっと男臭い武骨さだって表現できる。「WRX STIワゴンA-line」といってもいいくらいのマッチョな2LターボモデルのCVT設定を「S♯」にすれば、フラッグシップのエレガントさなんて消え失せてハードな乗り味が顔を出すようです。

  レヴォーグ=「原点回帰」なのは間違いないですが、日本市場を意識したサイズなんていうのは全くの建前に過ぎません。スバルがモデル改変に踏み切った最大の理由は、レガシィの存在が限りなくグレーになっていて、コンセプトは矛盾に満ちてしまったことです。スバル車だから「WRX STI」と同じパッケージにすればOKという時代はとっくに去っていて、フォーマルに使うレガシィB4にはそんなスポーツのギミックなど不要なわけです。

  さらに言うならば、アウディがワゴンにだけ「RS」を設定する考え方にシンクロしたのがレヴォーグなのだと思います。ハイパワーAWDワゴンというジャンルはそれほど雑誌などで話題にはなっていませんが、中型車の現在進行形のトレンドとして注目すべきものです。「原点回帰」と見せかけておいて、最先端のジャンルへと突き進んでいるとは・・・クルマ作りはつくづく奥が深いと感じる。

  
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posted by のっち at 05:14| Comment(0) | スバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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