2014年09月28日

日本車の地殻変動! レヴォーグ・S4・デミオ・ロードスター・・・

  マツダとスバルが今年になって発表した新型モデルはなかなか興味深いですね。これまで「護送船団方式」とか揶揄された日本メーカーの横並びなクルマ作りはもう完全に形骸化していて”280ps”の高性能車なんて無くなりました。それでも”日本車”を形成する仲間意識からか、全社が同じような方向性を持ってやや没個性なミニバンやエコカーを作っているというイメージはまだまだ残っています。セダンやSUVにしても何かとライバル社同士が似たり寄ったりのクルマを出し合って(パクり合って)いる部分もあります。かつてのスカイラインvsマークUのようなライバル関係は、21世紀になった今もなお宣伝・販売面でなにかとメリットが大きいのかもしれません。

  今ではデザイン面での”個性”が強く要求される時代のようで、セレナとノアといった一部のものを除くと、ライバル車と見間違えるようなデザインはかなり減ってきているように思います。それでもデザインこそ違っていても車体サイズや排気量は似たり寄ったりのものが多いです。スペックが詳しく載っている「自動車ガイドブック」を見ながら、なんでホイールベースまで同じになるの?などと考え込んでしまうこともあります。もしかしたら開発担当者とタイヤメーカーがかなり癒着しているのでは?といった業界の裏事情に対する疑念すら湧いてきます。ランフラットタイヤが驚異的な”繁殖力”を見ても、日系タイヤメーカーの尋常じゃない営業力を感じます。完全にタイヤメーカーの”奴隷”になっているブランドは結構多い気がします。

  マツダやスバルといったグローバルでせいぜい100 万台/年程度に甘んじているメーカーは、少々失礼ですがブリジストンやダンロップといった大手から特に執着されないのかもしれません。タイヤも擦り合わせを繰り返した専用設計ではなく、トップブランド品をそのまま使わせてもらいますといった感じで、アテンザはトランザ(ブリジストン)、WRXはSPORT MAXX(ダンロップ)が使われています。同じ銘柄のタイヤを使うBMW、メルセデス、アウディ、VW、日産スカイラインはことごとくランフラット仕様になって”奴隷化”が進んでいますが、マツダやスバルは幸運なことに独自の道を進んでいます。単にマツダとスバルにRFTを研究する余裕がないだけかもしれませんが・・・。

  それでも日本のユーザーにとっては結果オーライで、日本のような治安が良いところではRFTなんてそもそも要らないですし、高速道路でバーストしたらRFTだって完全にお手上げです。重くて燃費が悪いし、グリップも低く乗り心地も悪いタイヤを日本で履いてるって相当なアホじゃないですか?日本メーカーの間で広まらない技術は、ほとんどといっていいくらいに役に立たないものばかりで、「ターボ」(軽は除く)や「DCT」を喜ぶユーザーはクルマ音痴ですね。「RFT」もこれに並ぶ日本には不要な技術です。VWゴルフはこれにすべて当てはまります。なんでこんなマヌケなクルマが日本COTYなのか未だに理解に苦しみます。新型スカイラインの「ターボ」&「RFT」もダメだこりゃ・・・って感じですが。

  それに比べてマツダとスバルの最近のモデルはいいですね!日本の道路事情に適していてしかも楽しいモデルを次々に作っていて、クルマファンの期待に全力で報いたいという意識がよく表れています。まず口火を切ったのがレヴォーグです。かつては5ナンバーサイズだったレガシィツーリングワゴンのファンに向けて作りました!とスバルが公言して憚らないハイパフォーマンスワゴンで、10km/L走れれば燃費には目をつぶるという走り優先のユーザーにとっては、「よくぞ作ってくれました!」というところでしょうか。「ターボ」ですけど、荷物の積載を前提とするワゴン専用モデルですから、それなりに合理的に説明できます。欧州車もワゴンやミニバンだけにターボを使うなら納得できるんですが、ターボ使ったサルーンなんて・・・。
  
  このレヴォーグはデザインからもスペックからもグローバルモデルの王道の様な作りをしているのですが、なんと国内専売モデルだそうです。一体スバルは何がしたいの?とやや不可解な点もありますが、日本市場の自動車ユーザーとしては国内市場に多様性をもたらすこの新型モデルを歓迎しない理由はないです。「2Lターボ(300ps)+AWD」というメルセデスやBMWで買ったら一体いくらになるの?というほどのゴージャスで日本ではハイスペック気味な設計も「ワゴン」なら納得できますし、何より350万円で買えるのが嬉しいです。

  新型デミオも実に野心的で、今のマツダが持つ際限のない創造性がこれでもかとばかりに十二分に発揮されてます。コンパクトでスライドドアを備えた”プチバン”が日本では安定の販売台数を示していて、今後は北米や欧州にも波及しそうな予感すらあるのですが、マツダはそんなブームにくるりと背を向けて、「コンパクト・高級・ツアラー」というこれまでの小型車の常識を超えたジャンルのクルマを高いレベルで完成させたと思います。「Bセグ×クリーンディーゼル」という欧州でも極めて例外的な設計を用いることで、「高速道路を静かに走れるコンパクトカー」というトヨタでもブレイクスルーできなかった壁を見事に超えたようです。

  小型ガソリンエンジンのクルマで長時間高速道路を走ると、乾いたエンジン音がざわざわと耳障りで、運転席と助手席の会話もやや声を張らせる必要があり、東京〜京都の5時間巡航などしようものなら疲労で着いてから何もやる気がおきません。比較的静かなイメージのあるトヨタ・プレミオでも1.5L車だと騒音は酷くて、前後の席間の会話はかなりつらいです。これがマツダ・デミオに新たに採用される1.5Lクリーンディーゼルになると、高速域ではガソリンエンジンよりも低回転での巡航が可能になり大幅に騒音が軽減できるのだそうです。いろいろな技術革新が叫ばれている自動車業界ですが、トヨタもホンダも自動運転技術で先進性をアピールする前に、自ブランドの最量販車種の使い勝手についてまだまだ改良の余地がたくさんあるはずです。アクアもフィットHVも高速道路を長時間巡航すれば、モーターは使えず非力なエンジンが耳障りな騒音を出してバッテリーを積んだ車体を引っ張るわけですから・・・。


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posted by のっち at 05:53| Comment(0) | 全メーカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月04日

スバルWRX-S4の清々しさの影に・・・ギャランフォルティスRA

  現在のスバルの日本とアメリカにおける「イケイケ」な状態は、まだ勢いが醒めやらぬようです。スバルの大活躍を見ている限りではHV・ディーゼル・ガソリンターボ(小排気量ターボ)でユーザーに媚びることはブランドの浮沈にそれほど関係ないのかも!?と思ったりします。好調スバルはここに来てターボ専用モデルのレヴォーグとWRXを立て続けに出してきましたが、これもVW的な「セコセコ・ターボ」では無く、メルセデスやBMWの上級モデルのボディでも楽々動かせそうなパフォーマンス重視の高性能ユニットが採用されています。

  てっきり欧州で細々と実用化しているボクサー・ディーゼルを慌てて日本仕様に仕立て直すのかな?なんてスバルのポテンシャルを完全に見くびっていた1年前の自分自身の発言を今更ながら大いに恥じ入っております。スバルの首脳陣は最初からディーゼルの日本展開なんて考えて無かったみたいです。マツダと僅かな客を奪いあった挙げ句に共倒れなんて愚かなことは、やはり「自工会」が全力で止めに入るんでしょうね。それこそ残存する日本メーカーのどこかがギブアップでもしようものなら、その中枢と言える先端技術が中国メーカーによってごっそり吸い上げられてしまい、他のメーカーの技術もたちまちに競争力を失ってしまう懸念があります。(あくまで憶測ですが・・・)

  トヨタが資本面でバックについたスバルは、アメリカの工場でトヨタ・カムリのOEMを担当するだけであっさりと低収益&赤字を解消したようですっかり一息ついたみたいです。そして今度はおもむろに方針を転換したようで、乗り出し300~450万円という商品群(レヴォーグ&WRX)を「新しいスバルのフラッグシップ」と銘打って発売してきました。人によっては従来のWRXにワゴンが加わっただけと片付けるかもしれないですが、高性能モデルだけで一定規模の販売を仕掛けて、ブランドのスタンダードにしてしまおうという試みは日本車の歴史の中でも画期的な出来事ではないでしょうか。簡単に言うとVWがゴルフを「GTI」と「R」の2グレードだけに絞って新型を発売するみたいなものですから、最近の輸入車ブランドにおいても滅多に見られない販売形態と言えるかもしれません。

  スペック前提に話を進めるのは、クルマ好きとしてあまり好ましい態度ではないかもしれませんが、新生スバルを象徴する「レヴォーグ」「WRX」が備える高級志向のパワーユニットはなかなか野心的で、メルセデス、BMW、アウディの売れ筋モデルが完全に喰われてしまうほどに立派に感じます。これまでも高出力という点ではWRX・STIや他の日本メーカーにもギャランフォルティス・ラリーアート、シビック・typeRといったモデルがありました。しかしこれらの3モデルはいずれもサーキット使用を前提として作られているので、高級サルーンほどに遮音材が使われておらず、スポーツサスペンションを標準装備するので一般道での乗り心地は劣悪でした。実用性の低さからカタログ一般モデルという扱いではなく、限定販売が主体の少量生産モデルであるかそれに近い存在でしかありませんでした。

  それが今回のスバルはレヴォーグだけで5000台/月という快調な滑りだしを見せ、「S4」でも1000台/月程度の大口販売を狙っている様子です。そのためにも一般道での走行も考えた足回りと静音設計を施した「S4」と、主にサーキットでの使用を前提とした従来の路線を踏襲した「WRX」に大きく線引きして発売してきました。誤解を恐れずに言うならばポルシェ911に「カレラ」ほかの一般モデルとサーキット専用モデルの「GT3」が設定されているのに近いかもしれません。最新の日産GT-Rも「ニスモ」というサーキット専用チューンのグレードが新設されるなど、「公道モデル」と「サーキットモデル」の作り分けという欧州ユーザー向けのスポーツカー文化が日本メーカーの中にも根を下ろしてきたようです。

  「GT-Rピュアエディション」や「WRX・S4」は専ら一般ユーザーが公道で使う”グランドツアラー”としての性能を意識的に高めているようで、どちらも先代より格段に乗り心地が向上していると専らの評判です。1000万円を超えてしまうGT-Rはともかく、300万円台に乗り出しが抑えられそうなWRX・S4は高性能車の「特別」なオーラを醸しつつも、負担感がだいぶ少ないのでとても魅力的に映ります。実用面であれこれ見るとハイオク仕様はやはり少し痛いかもしれないですが、13km/Lというモード燃費はハイスペック車ならば納得できる数値だと思います。

  この「S4」が出るまで、この手のクルマを手頃な価格で手に入れたい人の頭に常にチラついていたのが三菱ギャランフォルティス・ラリーアートでした。ただしこのクルマは残念ながら難点を幾つも抱えていました。ランエボのユニットをデチューンして使っていながらも、車体は軽量化しておらず燃費はかない大味な10.4km/L(ハイオク)です。ランエボありきの開発しかしてこなかった三菱に対して、スバルが批判を浴びつつも熟成させてきたCVTの燃費面での効果は大きいようです。相変わらずスバルはCVT辞めろ!とか唱えている評論家のオッサン達が多いようです。しかし日本の都市部ではどうしてもストップアンドゴーが多くなってしまいますから、伝達効率(DCTやMTだと高まる)の効果なんてあまり期待できないですし、スバルの選択はとても妥当なものではないでしょうか。

  他にもギャランF・RAの難点としては「内装のレベルが低い」「外装デザインがいまいち」「ランエボよりも大して乗り心地が良くなっていない」「走りの重厚感が希薄」などあれこれとかなり積み重なっており、いくらコストパフォーマンスに優れるといっても、欧州プレミアムのグランドツアラーと比較する存在に祭り上げるのはかなり苦しいものがあります。それでも300万円で240psを余裕持って捻り出すスペックは実に燦々と輝いていますし、500~600万円する欧州車を軽く煽り倒すことができるのはとても大きな魅力ではありますが・・・。

  スバルの先代WRXに設定されていた「Aライン」に関してもギャランF・RAと同じような立ち位置で、ほぼ同じような難点を抱えていました。「SIドライブ」こそ付いていましたが、乗り心地はSTIに近い硬さでしたし、お世辞にもカッコいいとは言えないデザインにも閉口させられます。そして三菱よりもさらに劣悪な内装レベルを見れば、とてもレクサスやアウディといったプレミアムブランドのライバルになれる存在ではなかったです。そんなスバル車も現行レガシィを皮切りに内装の向上に務めていて、インプレッサ、レヴォーグと車格に関係なくどんどん洗練されたものに置き換わっているようです。今ではBMWの内装に耐えられるならばスバルでも十分に納得できる水準と言ってもいいかもしれません。

  また最近のスバルのブランドとしての底上げはとても効果的で、レガシィもインプレッサも先代までは「プラモデルみたいなコクピット」と揶揄されていたあのスバルが、今ではクルマを見る限りでは、「プレミアムブランド」を自ら名乗ってもそれほど不自然に感じられることはなくなりました。世界でも最高レベルの安全装備を持っていますし、内外装も十分にドイツプレミアムを追従できるものになりました。ベースグレードであっても全く妥協が無いエンジンが積まれていることを考えると、ドイツプレミアムを超える存在のブランドといってもいいかもしれません。ギャランF・RAやWRX・Aラインにどうしても納得が出来なかった人々が、スバルに期待をかけて待っていて良かったな!と素直に思えるようなクルマが今回の「WRX・S4」ですね。


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posted by のっち at 06:57| Comment(0) | スバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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