2014年11月28日

ホンダのコンパクト・ルネサンスは続く?

  大反響とともに発売を開始したマツダ・デミオですが、これに試乗して「もうヴィッツ、フィットは用無し」と免許持ってないガキみたいなことを言っている自動車ライターが数人いました。まあ主旨としてはアクア、フィットHV、デミオXDの3台がこのクラス(Bセグ)を支配するくらいの意味かもしれないです。だったらまずは意味不明なリニューアルをして、なんだか影が薄くなったVWポロを徹底的に叩くべきな気がしますが・・・。ヴィッツもフィットの「現在的価値」を見て見ぬふりをして批評したところで、「このライターはアホだな」で終わってしまいます。Bセグは確かに小型車ですけども、現在では全体の4割以上を軽自動車が占める日本市場では、もはやアッパーミドルなクルマといってもいいかもしれません。そしてヴィッツやフィットの中には堂々たる風格でオリジナルエアロパーツを付けて目立つクルマも増えてきました。

  1999年に発売されたヴィッツ、2001年に発売されたフィットは、それぞれ先代モデルに当たる「スターレット」や「ロゴ」で意図されたスポーティ路線を封印して登場しました。軽自動車規格では目指せないグローバル市場を狙った戦略モデルで、日本車らしい経済性・耐久性・ユーティリティ性にコダワル「提案型」モデルとして、初代からとても高い完成度と人気を誇りました。必ずしもこの日本型コンパクトが世界の全ての地域で成功したとは言い難いですが、東南アジアなどの新興市場で圧倒的な人気を誇りました。ただしヴィッツ&フィットの戦略は「走り」を重視する欧州の自動車文化の壁はなかなか超えられなかったようです。一方で走りに特化したモデルとして登場したスズキ・スイフト(2000年)やマツダ・デミオ(1996年)は発売後まもなく欧州でもすぐに大反響で受け入れられました。

  スイフトもデミオも発売当時にスズキとマツダがそれぞれ欧州に確固たる地盤を持っていた欧州GMと欧州フォードの傘下にあったことから、グループ内の共通設計の結果として欧州コンパクト寄りの設計になったことが大きかったようです。しかし10年経って勢力を拡大することに成功したのはやはり新しい提案を入れたトヨタ&ホンダが目指した新しい「日本式」コンパクトカーでした。日本の自動車ライターが、スイフトやデミオの優越性を大合唱したところで、日本市場におけるトヨタ&ホンダの優勢は拡大する一方で、近年ではHVの圧倒的な経済性が商品力を大きく左右するようになり、自動車雑誌もトヨタ&ホンダの「圧力」に屈する形でその論調に変化が見られるようになりました。

  そんな中で登場したのがマツダの新型デミオで、トヨタ&ホンダの好業績の前に沈黙していた「欧州コンパクト大好き」な評論家が一斉に息を吹き返しました。そして冒頭のような「ヴィッツとフィットは不要!」みたいな暴言が飛び出します(浅はかな・・・)。そういった連中ばかりが選ぶ日本カーオブザイヤーをデミオが受賞したのもまあ頷けます。これまで抑圧されていた鬱憤が一度に開放されたように、新型デミオが表現した欧州コンパクトの王道スタイルには予想以上の拍手喝采が送られ、何だかワケがわからない盛り上がりを見せています。意図的にメディアを上手く利用したマツダもなかなかの戦略だと思います。

  新型デミオは、マツダが練りに練ったコンセプトがキラリと光る傑作車であることは間違いないでしょう。欧州コンパクトのど真ん中を射抜くようなドライビングの楽しさを持ちながら、トヨタ&ホンダの水準に迫る経済性を達成したわけですから売れて当然のクルマです。それでもデミオがアクアを販売台数で超えていくことは考えにくいです。デミオが勝てないのは単にトヨタとマツダのディーラー網が違うという話ではなくて、アクアもまた多くのユーザーのツボを上手く押えていて非常によく出来たクルマだからです。結局のところ、デミオはポロ、ミニ、アウディA1といった同クラスの輸入車にとっては脅威かもしれないですが、トヨタやホンダが目指す最新のコンパクトカー戦略から見れば、ロゴやスターレットの時代に逆戻りしたような時代錯誤なクルマにしか見えません。

  自動車評論家がしばしば陥る罠が「懐古主義」だったりします。全てのクルマにはそれぞれに開発者の情熱が詰まったコンセプトがありますが、知恵が足りない評論家は自らの偏屈な「懐古主義」に気がつかずに「フィットやヴィッツはもう不要!」と結論付けます。そしてフィットやヴィッツが売れる現実を「多くの日本人のクルマ観が間違っているから!」とまで罵倒します。なぜフィットやヴィッツが売れるのか?と考えようともしない様子には驚きです。どのBセグよりもキャビン・スペースに対して配慮を見せているフィットに試乗して、その挙げ句に「テールゲート周りから騒音がする」とその著書にて切り捨てた某・有名ライターがいましたが、これだけ広いキャビンを最優先で作っているという美点は見ずに、VW的なボディ剛性を優先する視点で評価しているのには唖然としました。

  さてそんなアンチ・ホンダな評論家(福野礼一郎氏など)を、ことごとく黙らせるコンパクトなクルマをホンダは年末と年明けに相次いで出すようです。一つはすでに12月の発売がアナウンスされている、フットベースのHV専用セダン「グレイス」です。フィットの大振りな5ドアHBよりも格段に剛性が高くなるであろうセダン・ボディは、バッテリー搭載にも耐える剛性感あるシャシー性能の高さと相まって、なかなか興味深い設計になりそうな予感がします。年明けに予定されているのが、話題の軽スポーツカー「S660」だそうです。ケータハムによって80psが認可されていることから、ホンダも同様に軽自動車の自主規制ラインを超えた出力のエンジンで発売されると噂されています。

  先に発売してしまったコペンにはちょっと気の毒ですが、ホンダが昨年の東京MSで公開してから1年が経過しても発売が出来なかったわけは、もしかしたらエンジンの仕様変更に関するテストと、型番取得のための国土交通省への接待に時間が必要だったのかもしれません。東南アジアで大人気のホンダ・ジャズがいよいよ日本へ凱旋して「グレイス」となります。VWポロやプジョー208といったハッチバック勢を退けて圧倒的な人気を勝ち取った「フィットセダン」(ジャズ)は、日本でも予想外の快進撃を見せるかもしれません。

  
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posted by のっち at 01:45| Comment(0) | ホンダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月07日

トヨタ86 を日常の足に!というのは何か違う

  ドライブにはとても良い季節の3連休でした。東京西部の幹線道路を走っていると、ルーフを開け放ったボクスターが隣り車線を気持ち良さそうに駆け抜けて行きます。ちょっと抽象的で恐縮ですが、「これこそがクルマの醍醐味なんだ!」と全身から嫌というほどに発信してくるのがポルシェですね。それにしてもとことん洗練されたデザインが眩しい限りです。そして理想の2シータースポーツカーとして全てが過不足ないサイズ感に収まっているのもとてもいいですね。スーパースポーツやマッスルカーのような周囲を威嚇するような、品のなさもないですし、フェアな視点で見てとても自然体に見えるポルシェの入門車ですし、このクルマを見る度に日本で異例のヒットを記録したのがよくわかります。

  ボクスターでもベースグレードで軽く700万円するので決して安くないですが、真剣に検討したときに3.5Lのクラウンアスリートと比較してみても、タイプこそ違いますが大きな遜色はないので、ポルシェにしてはかなりコスパがいいことが分ります。多少無理すれば買えてしまう辺りが悩ましいところで、せっかく買うならポルシェかな?と決断する人も少なくないと思います。そもそも3.5Lのクラウンマジェスタはそれほどお買い得というわけではないかもしれません。「居住性」のクラウンと「走りとデザイン」のボクスター・・・どちらも非常に高い水準にあることは間違いないです。

  ボクスターを買う人の背中を力強く推すのは、やはり非日常の領域を十分に実現しているエンジンと走りだと思います。スポーツカーが醸し出すシンプルなファン・トゥ・ドライブということならトヨタにも86があります。このクルマの最大の魅力を一言でいうならば、従来のトヨタ車に対する「アンチテーゼ」です。スカイライン、WRX-S4、ゴルフGTIといった最新のマルチ性能を備えた各メーカー渾身の自信作は、どれも素晴らしい出来映えで創造性すら感じるわけですが、やはりボクスターや86のような専用設計スポーツカーはそれらの万能車をまるで嘲笑うかのように、構造の「シンプルさ」だけで、走る喜びを見事に演出してしまいます。そういえば昔のクルマってこんな乗り味だったような・・・なんて忘れかかっていた感動を見事に呼び起こしてくれます。

  アクセル踏んだら動き出して、ブレーキ踏んだら止まる。そんな自動車運転の大前提も追従クルーズコントロールの普及で変わってきています。追従クルコン以外でも最近のクルマはアクセルオンにしてから動きだすまで、しばらく間があったりします。どれくらい燃料出して、どれくらいエンジンまわして、どれくらいトラクションを配分して・・・クルマのコンピューターがあれこれ考えてから動き出している過程はしばしば「ダルい」と感じてしまいます。高級車になればなるほどに仰々しいほどの”シンキングタイム”が設けられ、ダウンサイジング&車重増加の傾向から、昔のクルマにあった動きだしのキビキビ感はかなりスポイルされています。メルセデス・VW・トヨタ・日産・スバル・マツダといった好業績へと推移しているメーカーの最新モデルほどこの傾向は露骨に感じられます。

  キビキビ走りたかったらスポーツカーに乗りなさい!まあ正論ですね。それでもトヨタ86だからってキビキビ感があるか?というと、意外にそうでもなかったりします。待たされてもイライラしますけど、過敏すぎてもヒヤヒヤで落ち着かないというのもよく分りますが、86のアクセルフィールはトヨタによって「計算」されていて、そのユーザーの主体となる年齢層をも考慮して、中間の絶妙なところを狙っています。スポーツカーとしてアクセルワークにじりじりと神経を使うようなセッティングではなく、あくまでニュートラルなフィーリングを目指して開発されているのだと思います。だからといって単純に高齢者向けの緩いスポーツカーと批判するつもりもありませんし、私のようなマツダ車のアクセルやハンドリングのフィールを好むユーザーにとっては、むしろとても魅力的なクルマです。

  さきほど「アンチテーゼ」と書きましたが、トヨタの考えとしては「ハイブリッドとの対比」あるいは「プリウスの懺悔」という意味で、ブランドにとってとても存在価値のあるクルマだと思います。日本の自動車の基本設計のあり方を「ハイブリッド」へと変えたのは、実際のところトヨタ1社の全力投球によるところが大きいです。市場で流通するクルマのアクセルフィールはHVの販売比率が高まるにつれ、良く言えば穏やかで安全なものになり、悪く言えば鈍くてつまらないものになっているような気がします。86のアクセルフィールも「スポーツカーはやっぱり凄い!」という感動ではなく、「10年くらい前に乗ってたクルマはこんな感じだったな・・・」というノスタルジーに近いです。

  10年前のクルマと同じフィールを再現しただけなのに、支払い総額で300万円を軽く超えてくるという価格設定にはいろいろな意見があるかとは思います。あまり言われることは少ないですが、車体剛性の高さを意外にも強く感じられるのがこの86です。その点を評価するならば価格設定は納得できるのですが、逆にもっと上屋部分はもっとしなやかで、シャシー剛性を特に重視する設計が、かつての日本の高性能車に共通する美点だったことを考えると、なんとも言えない重苦しさを感じます。86が瞬く間に海外でも高い評価を受けるようになったのは、このドイツ車的というか先代ゴルフを思い出させる車体の剛性感と、日本車的なライトウエイトスポーツが不思議な調和をしたような質感が新鮮に感じられた結果が良い方向に出たと思います。

  86の乗り味は、最終型セリカ、MR-S、マツダロードスターといった日本のお家芸ともいえるライトウエイトスポーツの伝統とは、大きく違うところにあって、発売当初からターボを積んでほしいという声も相当にあったようです。トヨタは安易なターボ化には難色を示しているという噂ですが、車体にあったパッケージを模索すると、300ps以上の出力というのも日本人が大好きなBMWを彷彿とさせる感じで、なかなか説得力のある結論じゃないでしょうか。

  この86を日常の足として、ハッチバックのファミリーカー的な使い方をする人も多いようです。トヨタはその需要を見越して2+2シーターとして開発するなど完全に色気を見せているわけですが、やはり乗ってみると趣味性の強いセカンドカー的な設計に「圧倒」され「圧迫」されるので、日常の使用でこれはさすがに苦しいのではないかという気がします。トヨタの鋭い狙い(ミーハー?)とは、微妙にズレていてスバルの堅物っぷりがクルマの雰囲気を独特のものにしています。日常のクルマというとVWゴルフのような無機質なデザインをイメージするかもしれませんが、むしろ日常のクルマこそ色気がほしい気がします。普段はマツダ・アテンザのようなクルマに乗って、たまの休みにはマツダ・ロードスターのようなストイックなスポーツカー・・・なんて選択が正しい気がします。

  トヨタ86はそういう意味でも日常のクルマにはどうも相応しくないです。かといってスポーツカーとしてのピュア度にもやや疑問があります。確かにドライブフィールは一般的なクルマよりも良好で、アクセルレスポンスもハンドリングも申し分ない水準に達しています。さらにブレーキのフィールをポルシェくらいにガツンと効くものにすれば、さらに良いクルマになりそうな予感はあります。ただしその過程はトヨタが狙う「マルチタスク」なスポーツカーとは逆の方向への進化になります。トヨタはここから先の打開策としてG’sなどのさらに濃いスポーツ性を有するコンプリートモデルを予定しているようです。

  デビュー当時のコンセプトのまろやかさで、ある程度のユーザーをスポーツカーへと引き摺りことに成功した86は素晴らしい戦略が光るプロジェクトでしたし、大成功だったと思います。しかし西川淳さんが今月のニューモデルマガジンXで「86は魔性ではない!」という慧眼を披露されてらっしゃいますが、やはり日常でも非日常でもなかなかハマらない収まりの悪さはあります。共同開発しているスバルはこの手の演出があまり上手くないので、トヨタはもっとリーダーシップを取って大胆にクルマを改良していく必要があるのかなと思います。ぜひ今後に期待したいモデルです。

  
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↓トヨタが本気だせばすぐに追いつけそうだけど。


posted by のっち at 01:15| Comment(0) | トヨタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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