しっかし、ユーザーを味方につける戦略を考えるのもメーカーの立派な仕事であり、結局はトップの社長の責任ということになるのかもしれません。日本人は一度偏見を持ってしまうとそれを墓場まで持っていく人々ですから、日産のイメージ回復にはゴーン社長の引退しかないのでは?という意見もしばしば見られます。日産も日本のユーザーに戻ってきてもらうべく、NISMOをコンプリートカー・チューナーとして再生させ、かなり広範なモデル展開をしています。その中でも相当にコアなフル・チューンで登場したのが「ノートNISMO S」というコンプリートカーです。
まずは何といっても日産の小型車ラインナップからは絶滅して久しい「MT」車が復活しました。Zとスカイラインクーペには3.7LのV6と組み合わせた「MT」が残っていますが、1.6L直4という小型スポーツモデルに相応しいエンジン(日本の税制には合わないけど)との組み合わせた日産車が再び発売されるとは・・・。もうちょっとカーメディア全体がワイワイと盛り上がっていいと思うのですけどね。ベース車がノートということでどうもオッサンのライター達にはウケないようです。同年代のおばあさんが御用達にするクルマだ・・・くらいに思っているはずです。
実際このクルマの存在を知ってから、日産のモデルで一番興味深い(所有してみたい)クルマになりました。まあ確かに、言われてみれば、1.6L自然吸気&MTという設定は、スズキの名車「スイフト=スポーツ」を連想させます。このクラスにはちょっと大振りなノートの車体ですから、スイ=スポよりもやはり少々「重い」乗り味です。だったらスイ=スポでいいじゃん!なんですけど、そこは日産もしっかりとマーケティングがされていて、スイ=スポに差をつけるべく、秘密兵器となるオプションが用意されています。
日産が目をつけたスイ=スポの弱点こそが・・・「シート」です。フルエアロ組んでも乗り出しで200万円を切ったスイ=スポのコスパに驚愕してしまってあまり気がつかなかったですけど、内装&シートはできれば取り合えてみたい部分ではあります。フロアマット、トリム、ルーフの内張りなどなど確かに弱点ですね。それに比べてべース車のノートがすでに豪華仕様の「メダリスト」さらに「ライダー」「アクシス」と個性的なコンセプトグレードを増やしていて、いろいろな素材を使った内装が作られています。
スイ=スポは確かに楽しいけど、一人で楽しむ時以外はいまいち使い勝手が良くないな・・・。スイ=スポの走りを持ちつつも、2人で乗っている時もリラックスできるくらいの内装を奢ったモデルだと、所有するイメージが沸くという人も多いのではないでしょうか。もちろんスイ=スポも不世出な名車であることは間違いないですけど、より現代の日本人のライフスタイルに合った提案として「ノート・NISMO S」というモデルが持つポテンシャルの高さに感服した次第です。
もし買うならば必ず選んでおきたいのが270,000円になるオリジナル設計のレカーロシートが運転席と助手席に付いてくるオプションですね。全てのデートの良し悪しはシートで決まるのでは・・・。映画館もスタジアムも喫茶店も・・・そしてプライベートカーも。とにかく全身を預けることができて、包まれるような高級感が味わえた時に、人は幸せだと感じられますし、一緒に過ごしていて快適だという実感が得られます。休暇を過ごすリゾートホテルには、ずっと座っていたくなるカウチソファとか置いてあったりすると(あと良い景色の眺め)、それだけで宿泊して良かったと思います。去年の暮れに思い切って書斎のイスと、リビングのソファを換えてみたら、信じられないくらいに在宅が快適になりました。「人生はシートで決まる」といっても過言ではないかもしれません。ノートNISMO Sのスペシャルシートに身を委ねて、絶景が見える場所までひとっ走りするだけで「とてもいい休日」になりそうです。
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