トヨタは確かに日本の会社なのですが、トヨタブランドのクオリティカーはどれもこれも日本専用車ばかりだし、レクサスは元々日本にはなかった「プレミアムブランド」という考え方に基づいています。本来の「日本車」といえる「納得の価格と性能で世界最高のクルマ」というコンセプトで作り続けているのが「マツダ」と「スバル」だけになってしまったようです。大手3社は出来る限り価格を引き上げたり、「個人所有」のクルマに背を向け続けた結果、ここ数ヶ月は「マツダ」と「スバル」だけが普通車の販売を伸ばしている状態です。補助金など関係なく「楽しいクルマ」や「いいクルマ」を求めるユーザーは、こういう時期でもおほしいクルマを買うのだと思います。
そんな「マツダ」と「スバル」のブランドイメージを牽引しているのが「アテンザ」と「インプレッサ」です。日本に輸入される欧州車の「輝き」に真っ向から対抗できる「エクステリア」と「走り」に加えて「インテリア」の質感も必要十分にまで向上していて、メルセデスCやBMW3の「がっかりするほど貧弱な」内装よりもよっぽどよく出来ています。もはやドイツ車でこの2台に勝つためには700万円くらいの出費を覚悟する必要があります(アテンザなら350万・インプなら300万です)。
もし日本車全体が高価すぎて「補助金」なしには売れないことが判明したならば、日本メーカーには今後売れるクルマを期待することもできないし、「クルマ好きは輸入車に乗れ」という結論になってしまいます。そんな日本車の存在意義が問われるこの時期に新車販売を上向かせた両社は「アッパレ」だと思います。このインプとアテンザが作った「波」を受け継ぐモデルがマツダ・スバルだけでなく、他のメーカーからも生まれてくれば、その競争の中でもっともっと良いクルマが作れると思います。スバルは新型フォレスターで更なる「販売」の拡大を目指したいところです。マツダはちょっと間隔が空いてしまいますが、「新型アクセラ→新型ロードスター→新型デミオ」と投入して、「マツダ顏」を世界へと浸透させていけるでしょうか? ホンダや日産にもぜひこのジャンルに再び参入してほしい気がします。
日本車の歴史の中で世界に影響を与える技術を多く作り上げてきたのは、マツダやスバル以上に「ホンダ」と「日産」です。この2社は今なお世界最高という技術をいくつも保有しています。しかしこの2社は「バブル以降」トヨタの徹底マークを受けて、しだいに国内販売から離脱していきました(マツダもスバルも破綻の危機まで追い込まれました)。本来はこの2社が「シビック」や「プリメーラ」を進化させてCセグやDセグの輸入車に対する最大の「防波堤」になるべきだったと思います。日本メーカーがお互いにCセグDセグで高いレベルで争っていれば、日本車はもっと早く日本で評価されるクルマになっていたと思います。アテンザとインプから始まる新しい流れの先に日本車の輝かしい未来は予見できるのですが、果たしてどれだけのメーカーがそれを意図してくれるのでしょうか?
↓ひと頃に比べると日本車の「輝き」が復活してきているのを実感します。