2013年09月22日

インフィニティは日本車か?

  日本車のスカイラインは、アメリカでは「インフィニティG」という名で発売されていました。スカイライン(V36)のFMCに伴い、いよいよ「G」の名称も2013年モデルを最後に消滅するようで、北米日産ではすでに「インフィニティQ50」と名乗る2014年モデルが登場しました。クーペに関しては現行のVC36スカイラインクーペが「Gクーペ」から「Q60」に名称が変わり来年まで販売されるようです。

  シャシーやエンジンなどの基本設計は先代のものをそのまま引き継ぎ、今のところは新たにHVが設定されたくらいの変更に留まっています。ライバル車のレクサスISがいち早くFMCしたのに対し、日産幹部は「とくに気にしていない」とコメントしていますが、北米で大きな拡大を見せるハイブリッド市場の動向は無視できないようで、とりいそぎHVを追加して開発の終了を待たずに見切り発車した感があります。

  今やアメリカ市場でハイブリッドはトヨタの専売特許ではなく、IS300hの登場は完全に後手に回っている状況です。アメリカのDセグは都市部で好まれることもあり、トヨタに対抗できる燃費のクルマとしてフォード・フュージョンとシボレー・マリブがフル=ハイブリッドを相次いで設定して、カムリHVやアコードHVを追い上げる展開になっています。取り残された日産はEセグの「M」(フーガ)にはすでに設定されていたハイブリッドを載せたインフィニティQ50を慌てて送り出し、アルティマ(ティアナ)もFMCはまもなくと言われますが、遅ればせながらHVを軸とした販売を目指すようです。

  どうやら最近の日本のハイブリッドセダン・ブームは、北米市場でのDセグセダンで起きた「地殻変動」が原動力になっているようです。海外では高級車を中心にハイブリッドが活用されていましたが、北米のいわゆる「2万ドルセダン」(DEセグの通常ブランドセダン)で最近になって急激に普及が進み、もはやこのクラスはHVがスタンダードになったようです。日本ではカムリ&マークXの販売数とレクサスのセダンの販売数はほぼ同数ですが、アメリカではカムリ1車種で3万台が毎月売れていて、レクサス全体で2万台です(しかもカムリベースのESが最多)。Dセグセダンの最後の楽園であるアメリカでのトレンドは今後も世界のDセグを大きく揺さぶっていくようです。

  そこで、北米しか見ていないセダンと日本では売らない大型SUVしか作らない「インフィニティ」は日本車として分類して良いのか?という疑問が生じます。日本車であると主張できる根拠は、日本生産であることと、スカイラインとフーガが日本で設計されたことです。ここからが重要なのですが、「V36スカイラインは北米で見事にドイツ勢に勝利」しました。しかもVC-36スカイラインクーペは日本車にとっては鬼門であるクーペ部門において、性能とデザインの両面で3シリーズクーペに完勝し、とうとう3シリーズクーペを廃版に追い込みました。

  同時期にR35GT-Rを世界に放った日産の「イメージ戦略」勝ちとも言われていますが、質実剛健なアメリカ人の価値判断において日本車がドイツ車の得意なフィールド(FRの高性能車)で勝利したことは日本のクルマ史に残る偉業と言えます。CG編集部などの「反日組織」がいくら「プロパガンダ」を流して3シリーズやCクラスを持ち上げても、この事実は覆い隠せないです (ヤレない「味長持ち」のドイツ車に絶対的な基準を置くCGのスタンスもわからなくもないですが・・・)。

  日本車ファンにとって近年稀に見る日本車の実力を示した「カタルシス」なクルマであったV36スカイラインへの畏敬の念が醒めやらぬ中、発表された次期スカイラインのスタイルにはどうしても違和感を感じてしまいました。先代(V36)までは誰の目にも「日本車」だったはずのスカイラインが、とうとうアメリカ車になってしまったという印象を受けたのは自分だけではないと思います。もちろんV36の頃から3.7Lエンジンを標準で装備する設計はアメリカを向いているなによりの証拠ではあったのですが、日本の峠を駆け抜けるためのボディサイズと日産のコピーにあったはずの車幅が、きっちり北米サイズに拡大されてしまい、「日本のクルマ」と強調するべきポイントがほとんど無くなってしまいました。

  以前から日産はメルセデスとの提携を発表しており、このインフィニティQ50の後期からメルセデスのエンジンを使うことが内定しているという噂もあります。せっかくドイツを叩きのめしたのに、直後にドイツメーカーに懐柔されてしまうのは悔しい限りです。V35やGT-Rの開発者として知られる水野和敏氏が突如として日産を退社した理由もその辺にあるのではないかと勘ぐってしまいます。このインフィニティQ50も先代とシャシーは同じなももの、将来的にCクラス・Eクラスと共通のエンジンを積むための準備として車幅を拡大したようです (Cクラスも新型で拡大する模様です)。

  業界の「ハゲタカ」?というべきメルセデスとの提携にはもう少し慎重になった方が良いのではという気がします。すでにメルセデスは三菱を骨の髄までしゃぶり尽くし、かつてドイツでも絶賛されていた三菱のAWDとFFの基本設計とターボ技術を獲得しています。メルセデスの新型Aクラスを三菱を懐かしがって買おうとも、日本人のプライドとして不買運動を起こそうとも思いませんが、どこか複雑な思いで見つめてしまいます。どうせAクラスに300万円出すなら、私ならギャランF・ラリーアートを迷わず買いますが・・・。

  日産を勧誘したメルセデスの真意は明らかで、結局のところCクラスとEクラスに使われているプラットフォームの開発がままならないので、その部分に日産をそのまま移管しようということだと思います。パワーステアリング導入以降、まるでグニャグニャになり味が無くなったEクラスのハンドリングはもはやメルセデス独力ではどうにも出来ない段階なのでしょう。次のモデルではEクラスCクラスともに、フロントサスが3リンクからDWBに変わっているような気がします。そもそも直進安定性に一日の長がある3リンクサスにパワステを組み合わせる意図にまったく哲学を感じません。日本の山岳道路に入ったらろくに曲がれもしない3リンクを、日本でわざわざ選んで乗るユーザーの真意もわかりませんが・・・。

  メルセデスのラインナップは今後A・Bクラスが旧三菱、C・E(CLS)クラスが旧日産、そしてS・CLクラスがメルセデスAMGの受け持ちになるのでしょう。VWグループと全く同じ戦略です。C=スカイラインでE(CLS)=フーガで日本にもそのまま日産と三菱にOEMされそうです。そして生産国はおそらく中国になるのではないでしょうか。アメリカですでに販売が始まったインフィニティQ50は、もちろん今でも栃木工場で作られて全量が輸出されているようですが、海外(中国)に移管されるのも時間の問題かもしれません。まあ先のことを考えるとなかなか単純には喜べないインフィニティQ50(スカイライン)の「現在地点」ではあります。

  
↓蓄積された「情熱」を外資にあっさり売り払う日産の冷徹な「ビジネス」がいずれ災いを呼ぶ気が・・・

posted by のっち at 19:50| Comment(2) | 日産 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おっしゃる通りだと思います。

日産は確実に迷走中ですね。

自動車メーカーともあろうあの日産が。

インフィニティ、もはや日本車ではないでしょう。

日産エクストレイルはサイドブレーキが左側にあります。

日本を見下した車を造っているのは確かです。
Posted by at 2013年09月30日 00:40
コメントありがとうございます

日本ではトヨタが強すぎるので、日産もホンダも嫌気がさすのかもしれません。トヨタへの不買運動でも起こしましょうか・・・
Posted by CARDRIVEGOGO at 2013年10月01日 13:20
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