クルマの性能はもちろん申し分ないようでこれだけの高性能セダンが、直4HVのレクサスIS300hよりも安いのだから、日産としては「価値の分からないヤツは黙っとけ!」とか逆ギレしそうなレベル。それでもこのクルマのすばらしさは分かる人にはすぐに伝わるようで、発売から3日後の2月末日の段階ですでに4200台受注の快調な滑り出しになったようです。
とりあえずオーバースペックにするのが大好きな日産。看板モデルのスカイラインだからこそ譲れない部分もあるだろうし、そのスタンスはそれなりにファンに支持されているはずなのだが、どうも今回はその「ポリシー」が十分に理解されていない部分もあるのかも知れません。日産の「机上論」では完璧な設計だったのかもしれないですが、このクルマが北米市場を向いているのは誰の目にも明らかで、300ps近い出力のエンジンにさらにモーターで過給という仕組みを「やり過ぎ」と判断する声も妥当と言えます。
その一方で現実路線のクルマ作りをしているのが、マツダアテンザとそれに対抗して新たに登場するスバルの新型レガシィでしょうか。レガシィもほぼ現行とほぼ同じスペックのエンジンを引き継ぐことが北米発表されていますが、新たに日本にはボクサーディーゼルが投入されると言われています。
マツダもスバルもお財布に優しくて強烈な加速が楽しめるクルマをお手頃な価格で売るというのを、戦略の柱に据えているようで、富裕層をターゲットにしていると公言するレクサスや日産の高級モデルとはまったく違った魅力があります。レクサスや日産は高性能なドイツ車に真っ向から対抗するために、日本ではかなりオーバースペックなクルマを意図的に作っています。この2つのブランドを批判する人々、レクサスや日産のクルマの根底にある金持ちが「見栄」を張るクルマとしての設計に醜さを感じるのでしょう。
現実問題としてよっぽどの「上流階級」に所属していない限り、日本で生活するにあたって、アテンザやレガシィでも十分に満足できるんじゃないかなと思っています。これらのクルマで日本のいろいろな観光地に旅行してみればわかりますが、まあ十分に優越感に浸れます。高級車なんぞはメチャクチャハードスケジュールなVIPが都心の地下駐車場に眠らせているだけで、実際に東京の中心部を走っていても、周囲のクルマの7〜8割はタクシーだったりするわけです。
ゆえに300万円程度で買えるアテンザやレガシィから、500万円は下らないレクサスや日産スカイラインに乗り換えるなら、純粋にクルマの性能面での上積みを評価して、それが必要か?というとレクサスやスカイラインにそれほどの優越性はないのかなという気がします。デカいエンジンにモーター積んでバッテリー積んで、あまりに重すぎてハンドリングが悪くなったから新開発のシステムを使う・・・。
それでいてなにもやっていないシンプルなアテンザやレガシィと同程度の燃費。ハイパワーなのは魅力ですが、加速勝負となると、アテンザやレガシィのディーゼルよりもさらにアドバンテージがあるのか? ハッキリと高性能なインフィニティQ50Sというスポーティなモデルが用意されるそうですが、こちらは700万円コースになると思われます。まあアテンザもレガシィもレクサスISもスカイラインも良いクルマだと思いますが、ベストなクルマを選ぶとなるとなかなか奥深いものです。
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