2014年09月04日

スバルWRX-S4の清々しさの影に・・・ギャランフォルティスRA

  現在のスバルの日本とアメリカにおける「イケイケ」な状態は、まだ勢いが醒めやらぬようです。スバルの大活躍を見ている限りではHV・ディーゼル・ガソリンターボ(小排気量ターボ)でユーザーに媚びることはブランドの浮沈にそれほど関係ないのかも!?と思ったりします。好調スバルはここに来てターボ専用モデルのレヴォーグとWRXを立て続けに出してきましたが、これもVW的な「セコセコ・ターボ」では無く、メルセデスやBMWの上級モデルのボディでも楽々動かせそうなパフォーマンス重視の高性能ユニットが採用されています。

  てっきり欧州で細々と実用化しているボクサー・ディーゼルを慌てて日本仕様に仕立て直すのかな?なんてスバルのポテンシャルを完全に見くびっていた1年前の自分自身の発言を今更ながら大いに恥じ入っております。スバルの首脳陣は最初からディーゼルの日本展開なんて考えて無かったみたいです。マツダと僅かな客を奪いあった挙げ句に共倒れなんて愚かなことは、やはり「自工会」が全力で止めに入るんでしょうね。それこそ残存する日本メーカーのどこかがギブアップでもしようものなら、その中枢と言える先端技術が中国メーカーによってごっそり吸い上げられてしまい、他のメーカーの技術もたちまちに競争力を失ってしまう懸念があります。(あくまで憶測ですが・・・)

  トヨタが資本面でバックについたスバルは、アメリカの工場でトヨタ・カムリのOEMを担当するだけであっさりと低収益&赤字を解消したようですっかり一息ついたみたいです。そして今度はおもむろに方針を転換したようで、乗り出し300~450万円という商品群(レヴォーグ&WRX)を「新しいスバルのフラッグシップ」と銘打って発売してきました。人によっては従来のWRXにワゴンが加わっただけと片付けるかもしれないですが、高性能モデルだけで一定規模の販売を仕掛けて、ブランドのスタンダードにしてしまおうという試みは日本車の歴史の中でも画期的な出来事ではないでしょうか。簡単に言うとVWがゴルフを「GTI」と「R」の2グレードだけに絞って新型を発売するみたいなものですから、最近の輸入車ブランドにおいても滅多に見られない販売形態と言えるかもしれません。

  スペック前提に話を進めるのは、クルマ好きとしてあまり好ましい態度ではないかもしれませんが、新生スバルを象徴する「レヴォーグ」「WRX」が備える高級志向のパワーユニットはなかなか野心的で、メルセデス、BMW、アウディの売れ筋モデルが完全に喰われてしまうほどに立派に感じます。これまでも高出力という点ではWRX・STIや他の日本メーカーにもギャランフォルティス・ラリーアート、シビック・typeRといったモデルがありました。しかしこれらの3モデルはいずれもサーキット使用を前提として作られているので、高級サルーンほどに遮音材が使われておらず、スポーツサスペンションを標準装備するので一般道での乗り心地は劣悪でした。実用性の低さからカタログ一般モデルという扱いではなく、限定販売が主体の少量生産モデルであるかそれに近い存在でしかありませんでした。

  それが今回のスバルはレヴォーグだけで5000台/月という快調な滑りだしを見せ、「S4」でも1000台/月程度の大口販売を狙っている様子です。そのためにも一般道での走行も考えた足回りと静音設計を施した「S4」と、主にサーキットでの使用を前提とした従来の路線を踏襲した「WRX」に大きく線引きして発売してきました。誤解を恐れずに言うならばポルシェ911に「カレラ」ほかの一般モデルとサーキット専用モデルの「GT3」が設定されているのに近いかもしれません。最新の日産GT-Rも「ニスモ」というサーキット専用チューンのグレードが新設されるなど、「公道モデル」と「サーキットモデル」の作り分けという欧州ユーザー向けのスポーツカー文化が日本メーカーの中にも根を下ろしてきたようです。

  「GT-Rピュアエディション」や「WRX・S4」は専ら一般ユーザーが公道で使う”グランドツアラー”としての性能を意識的に高めているようで、どちらも先代より格段に乗り心地が向上していると専らの評判です。1000万円を超えてしまうGT-Rはともかく、300万円台に乗り出しが抑えられそうなWRX・S4は高性能車の「特別」なオーラを醸しつつも、負担感がだいぶ少ないのでとても魅力的に映ります。実用面であれこれ見るとハイオク仕様はやはり少し痛いかもしれないですが、13km/Lというモード燃費はハイスペック車ならば納得できる数値だと思います。

  この「S4」が出るまで、この手のクルマを手頃な価格で手に入れたい人の頭に常にチラついていたのが三菱ギャランフォルティス・ラリーアートでした。ただしこのクルマは残念ながら難点を幾つも抱えていました。ランエボのユニットをデチューンして使っていながらも、車体は軽量化しておらず燃費はかない大味な10.4km/L(ハイオク)です。ランエボありきの開発しかしてこなかった三菱に対して、スバルが批判を浴びつつも熟成させてきたCVTの燃費面での効果は大きいようです。相変わらずスバルはCVT辞めろ!とか唱えている評論家のオッサン達が多いようです。しかし日本の都市部ではどうしてもストップアンドゴーが多くなってしまいますから、伝達効率(DCTやMTだと高まる)の効果なんてあまり期待できないですし、スバルの選択はとても妥当なものではないでしょうか。

  他にもギャランF・RAの難点としては「内装のレベルが低い」「外装デザインがいまいち」「ランエボよりも大して乗り心地が良くなっていない」「走りの重厚感が希薄」などあれこれとかなり積み重なっており、いくらコストパフォーマンスに優れるといっても、欧州プレミアムのグランドツアラーと比較する存在に祭り上げるのはかなり苦しいものがあります。それでも300万円で240psを余裕持って捻り出すスペックは実に燦々と輝いていますし、500~600万円する欧州車を軽く煽り倒すことができるのはとても大きな魅力ではありますが・・・。

  スバルの先代WRXに設定されていた「Aライン」に関してもギャランF・RAと同じような立ち位置で、ほぼ同じような難点を抱えていました。「SIドライブ」こそ付いていましたが、乗り心地はSTIに近い硬さでしたし、お世辞にもカッコいいとは言えないデザインにも閉口させられます。そして三菱よりもさらに劣悪な内装レベルを見れば、とてもレクサスやアウディといったプレミアムブランドのライバルになれる存在ではなかったです。そんなスバル車も現行レガシィを皮切りに内装の向上に務めていて、インプレッサ、レヴォーグと車格に関係なくどんどん洗練されたものに置き換わっているようです。今ではBMWの内装に耐えられるならばスバルでも十分に納得できる水準と言ってもいいかもしれません。

  また最近のスバルのブランドとしての底上げはとても効果的で、レガシィもインプレッサも先代までは「プラモデルみたいなコクピット」と揶揄されていたあのスバルが、今ではクルマを見る限りでは、「プレミアムブランド」を自ら名乗ってもそれほど不自然に感じられることはなくなりました。世界でも最高レベルの安全装備を持っていますし、内外装も十分にドイツプレミアムを追従できるものになりました。ベースグレードであっても全く妥協が無いエンジンが積まれていることを考えると、ドイツプレミアムを超える存在のブランドといってもいいかもしれません。ギャランF・RAやWRX・Aラインにどうしても納得が出来なかった人々が、スバルに期待をかけて待っていて良かったな!と素直に思えるようなクルマが今回の「WRX・S4」ですね。


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posted by のっち at 06:57| Comment(0) | スバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月17日

スバルの前に大きく立ちはだかるフォード!

  スバルを海外メーカーに擬えるとどこが相応しいか? 良く言われるのが、エンジンの設計(水平対抗)からポルシェだとか、ドライバー本位の設計思想からBMWだとか、そしてAWD&ターボの新たな求道者としてアウディとメルセデスを挙げる人もいるのかも。名だたるブランドと幾多の接点を持っているということは、スバルの設計思想における理想の高さを如実に表している。

  しかしそれはある「部分」において近い存在なだけであり、クルマそのものをトータルで評価するならば、スバルファンは怒るかもしれないですが、海外雑誌などではフォードがよく引き合いに出されているのを見かけます。マツダとの提携関係が少なからず残るせいか、フォードはまだフルラインナップによる日本参入を果たしていません。よって日本にいるとフォードのコンセプトがダイレクトに伝わることも少なかったりするのですが、フォードは欧州部門を中心にスバル的なブランドを構築しようとしている意図がみられます。

  フォードによるスバル・コピー戦略は至るところで見られます。まずかつてのスバルと同じようにWRCに参戦し、主力モデルのフォーカスのブランディングに務めます。フォードはWRCで大活躍し、フォーカスも全欧州で最高の売上を誇るCセグ車の座に君臨し、その勢いは完全にゴルフを凌ぐレベルです。スバルはWRCの活動を通して「インプレッサWRX STI」というラリー史にその名を残すブランドモデルを作り上げましたが、フォードも対抗して「フォーカスST」というスポーツモデルをブランドのアイコンへと成熟させています。

  スバルとフォードではグローバルでの生産台数は大きく違いますし、小型車がかなり充実しているフォードと中型車に特化しているスバルですから、むしろ異なる点の方が多いわけですが、フォードの視界にスバルが入っているのは確実なようです。スバルは「日本向け」という建前のもとレヴォーグというWRX派生のワゴンを発売しました。狙いはハッキリしていてBMWやメルセデスのワゴンにぶつけるためのようですが、スバルの目線が上(独プレミアム)に向いている(?)ところを、後ろから密かに狙っているのがフォード。

  フォーカスSTだけでなく、欧州フォードが作るトップエンドのセダン「モンデオ」もなにやら新型レガシィB4を先回りしたような「モンデオ・ヴィニアーレ」という高級版を新たに追加してきました。デザインも従来のアテンザ(元々は兄弟車)に似たものから、急速にレガシィっぽいものへと変化。いよいよフォードによるスバル密着マークが本格化してきたかも。

  フォードがいくらスバルをパクったところで日本でのスバルの売上にはなんら影響はないでしょうが、問題なのは今やスバルのグローバル販売の50%を越えている米国市場。フォードの本拠地でスバルに壊滅的打撃を与えるような新型車が投入される可能性も高いですし、スバルが市場動向を見ながらタイミングを伺っているFB16DITによるターボ車展開も、すでにフォード・フュージョン(レガシィのライバル車)には1.5L「エコブースト」が設定されるなど、完全に先行されている形。さらにXVやフォレスターで狙うコンパクトSUV市場にもエスケープというモデルがエンジンのラインナップを揃えて待ち構えています。さてスバルは巨人フォードとの闘いに勝利することができるのか?


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WRXとフォーカスST」動画

モンデオ・ヴィニアーレ」動画

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posted by のっち at 12:54| Comment(2) | スバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月25日

スバルとレヴォーグに物申す!

  日本メーカーによる中型車の新規車種投入と聞けば、クルマ好きなら最高にアドレナリンが分泌されるニュースなのですよね・・・。もう当分は無いかなと半分諦めていたところに、いざ登場するといまいち脳みそが正常に判断できなくなって、「このクルマはホンモノだろうか?」みたいなやや懐疑的な想いが湧いてしまいます。とりあえずそんなこと考えずに喜べばいいのでしょうけど・・・。

  スバルはレヴォーグについて上々の反響だとコメントしていますが、正直なところ私と同じような「???」な感想を持っている人は多いのではないですかね。そもそもなぜ今さら「ワゴン専用車」なの? 5ナンバーサイズのレガシィSWが復活すれば今でも売れると思っているのでしょうか? 

  スバルのラインナップを注意深く眺めれば、なんとなく投入の意図は理解できます。SUVでは満足できない「走り」を求める顧客からの要望が多いのが直接的な動機みたいです。それならばもっと判りやすくブランディングして「WRXワゴン」という名称でOKなんじゃないだろうか?なんで「レヴォーグ」という新規車名なのでしょうかね。スバルは欧州ブランドのように1つの車種をイヤーモデルで熟成させることを重んじるメーカーだったと思うのですが。

  強いて理由を考えるなら「メルセデスCLS」と同じ発想かもしれません。Eクラスベースなのに「CLS」という名称からSクラスの車格と錯覚させるトリック・・・。「レヴォーグ」の「レ」でレガシィを連想させる意図を感じます。インプレッサベースのクルマなのに・・・。レガシィ&ヴォーグの造語?

  周囲を煙に巻くようなデビューも演出としては結構なことだけども、スバル陣営はなぜこれほどまでに自信に満ちあふれているのか?1.6Lターボという欧州コンプ丸出しのエンジンに、車名同様にユーザー(特に輸入車愛好家)を上手く誘導しようという戦略が見え隠れします。スバルのFB16エンジンがデビューしたのは2011年のことですが、スバル内部ではすでにBMWなどの欧州車のベースエンジンに定着していた1.6Lターボをターゲットにしていたのでしょう。

  スポーツシーンでは実力が広く知れ渡っているスバルDITエンジンを、メインストリームでも主役にする!技術畑のメーカーで音頭をとるにはおあつらえ向きの「言葉」ですね。しかもスバルはボクサーエンジンの優越性から、1.6Tも2.0TもターゲットのBMWには必ず勝てると分かっているわけです。OEMされるなど大量生産されるBMWの汎用機を狙って、モータースポーツのベースエンジンブロックにもなる最新鋭のFA20DITを投入するなんて無慈悲なことが許されるのか・・・。何もしらない一般人は欧州の有名メーカーと同じフォーマットで圧倒的に優秀なターボエンジンを作ったスバルの企業努力を手放しで讃えるでしょうけど。

  百歩譲ってスバルのエンジン開発戦略が妥当だとしても、このレヴォーグを欧州市場に真っ先に投入するならわかるのですが、レヴォーグは現段階では国内専用モデルと発表されています。日本メーカーにはわざわざ1.6Lターボという設計を用いなくても、燃費と加速を両立させた素晴らしいエンジンはすでにいくつもあるわけで、日本市場で旧態依然な「平凡エンジン対決」というくだらない茶番を見せられる身にもなってほしいです。そのためにわざわざ1.6Lターボをレギュラー仕様にしてくるあたりに、スバルの根深い欧州コンプレックスを感じてしまうのです。そんなことやってる暇があったら独自HVを熟成させて!

  ホンダのように欧州車なんて何とも思ってないメーカーならば、独自のアイディアでこれまでになかった趣向のエンジンを作って当たり前のように世界を驚愕させます。日産のように技術に圧倒的な自信があるメーカーは3L直6ターボのBMWを3.7Lの大排気量NAエンジンで軽くヒネります。あと相手がポルシェだろうとも平気で宣戦布告して撃破します。それに比べてスバルは器が小さいのでは・・・。同様にセコい?ディーゼル作って欧州車に勝ったつもりでいる某日本メーカーもちょっとどうかと・・・。



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posted by のっち at 05:53| Comment(0) | スバル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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