アウディブランドの上位車種「A8」「A7」「A6」はVWにはない独自のコンポーネンツで「オリジナル」な設計なのに対して、下位車種になればなるほど「大衆ブランド」と共通点が多いクルマになるという「巧み」というべきか「卑劣」というべきかよくわからない戦略によって急成長を遂げている。「オリジナル」アウディを新車で買うと700万円以上という価格になるが、「オリジナル」にこだわる顧客もたくさんいる。さらにブランドに憧れて、ゴルフより約150万円余計にお金を払う顧客も多いし、「アウディA3」と同じ性能でこの価格は安いとばかりにゴルフを喜んで買って行く顧客も殺到するという「恐るべきマーケティング手法」だ。
そんなVWのような「商売」に手を染めて「レクサス」を発足させた「トヨタ」は日本のコアなクルマファンから強烈な反感を買っていて、当初は思うような販売成果を上げることができなかった。しかし今ではその辺の事情などどうでもいい顧客に支えられて「レクサス」も徐々に日本に根付いてきている。トヨタにも同情できる点としては、ゴルフとA3がほぼ同じクルマでも誰も文句を言わないのに、SAI(トヨタ)とHS(レクサス)がほぼ同じクルマだと袋叩きにされてしまったことだ。確かに理不尽な話ではある・・・「買う方」も「作る方」もどちらも。
レクサス騒動の静態化を見て、日本のクルマ産業のフロンティアと言える「三菱自動車」が復権を目指してプレミアムブランドを設立したようだ。久しぶりに熱いニュースがやってきた。三菱のプレミアムブランドはその名も「MB」→ミツビシ・ブランドだ。どんな車種が設定されているかというと、三菱の基幹車種の「ギャランフォルティス・スポーツバック」をベースにした「MB・Aクラス」というハッチバックと、「ギャランフォルティス・セダン」をベースにした「MB・CLAクラス」というセダンの2車種の発売がすでに発表されている。
近年、なかなか業績が回復しない三菱はかなり戦略的な価格設定をしていて、ハッチバックの「Aクラス」はレクサスCTを大きく下回る「299万円」としている。しかしこれには裏があって、Cセグの「プリウス」の動力ユニットをそのまま移管している「レクサスCT」に対して、「Aクラス」は「ギャランフォルティス」の1.8Lエンジンを継承せず、コストダウンして低出力の1.6Lターボエンジンに載せ変えているのだ。これには少々がっかりしてしまう。
ギャランフォルティスにはよりハイパワー(240ps)の「ラリーアート」グレードが設定されているが、「Aクラス」にもこれが追加される模様だ。「MB・A250」というグレードでエンジンも2Lターボが使われるが210psにデチューンされてコストダウンが図られている。ラリーアートよりも120万円高く、車重も重く、パワーダウンしたクルマを誰が買うのか?と少々気になってしまうのだが・・・。さらに早くも三菱が誇るスーパースポーツ「ランエボ]」の「MB」版も発売されるらしい。これはAクラスとCLAクラス両方に設定されていて「A45AMG」「CLA45AMG」というグレードになるらしい。ランエボXと同じ2Lターボで360psと公称している。ランエボXの欧州仕様は400psにチューンナップされているから、こちらもコストダウンが行われているようだ。それでいて価格は2倍程度に跳ね上がるらしい。
よくよく調べてみると、「MB」ブランドは三菱本体が仕掛けたものではなく、ドイツ系の「工業ファンド」の企画らしい。しかも以前にも三菱の「コルト」をベースにやはり「Aクラス」という名で日本市場で300万円程度で売っていたらしい(恐るべし)。「MB」の製造は日本では行われず、北欧フィンランドにある老朽化した遊休施設を使って行われるらしい。これではどうやっても三菱クオリティでの製造は難しいだろから、デチューンもやむなしだろう。しかしこんなクルマが日本で本当に売れるのだろうか? 買う人の気が知れないのだが・・・。
↓三菱の「魂」が外国資本にパクられそうですね。三菱頑張れ!