2016年04月13日

ロングセラーの実力? マークX と エスティマ と・・・

  10年以上のキャリアを誇るロングセラー車が目立ってきたトヨタ。安易なモデルの統廃合を行わずに、同じジャンルに複数のモデルを残してきめ細かい要望に応えるという姿勢はとても素晴らしいと思います。それにしても旗艦のレクサスLSを始めとして、エスティマ、プレミオ/アリオン、アイシス、bB、カローラルミオン、イスト・・・それぞれに喜ぶファンを抱えていて決して軽んじられるモデルではありません。トヨタというと、プリウス、アクア、アルファード、86で片付けられてしまう節がありますが、その影で熱心なユーザーと濃密な関係を築いているモデルがたくさんあるのが、このメーカーの魅力です。

  クルマ離れが進んでいるといわれる日本でどんな人々がクルマを使っているのか?
「レクサスLS・・・元気な中小企業の社長さん」
「エスティマ・・・堅実なお父さん」
「プレミオ/アリオン・・・官僚向けらしい」
「アイシス・・・エスティマよりちょっと若い堅実なお父さん」
「bBとカローラルミオン・・・地方で頑張る若者」
「イスト・・・アクティブな女性」
どれも日本で頑張っている人々のクルマというイメージが強いです。

  クルマ好きが乗るからいいクルマ!というのはなんだか「くっだらない」な〜。マツダとかスバルとかなんかミーハーっぽくてさ・・・。どちらもDの人に聞いたら「スカイアクティブ」と「アイサイト」の評判だけでディーラーにお客がドっと来るようになったそうですよ。だからといって日本人の消費行動が軽薄だ!と切り捨てようとは思わないですし、カーメディアに洗脳されているとも思わないです。実際にマツダやスバルを試してみて、納得して買う人も多いはずですし・・・。

  けどね〜・・・「いいクルマ」という定義ばかりを追っかけていると、何か大切なものを見失ってしまうように思うのです。クルマを買うにあたって、とりあえずマツダを見ておこう!と見に行くと、だいたい試乗車は「Lパケ」なんですよ。一番お買い得なデミオでも「Lパケ」ならレザーにデザインされたインテリアで、一度試せばもう「メルセデスもアウディも要らないね」という気になってしまう。価格も乗り出しで200万円をちょっと飛び出すくらいだとか。間違いなく一人で使う分にはとってもいいクルマです!そして助手席に誰か乗せるのにもちょうどいいかな。ただし家族とか仲間を乗せるならば200万円以下で済むbBの方が気が利いてます。

  マツダが慌ただしくモデルチェンジを繰り返すのに、トヨタはロングセラーが可能なのか? やっぱり一人で乗っているデミオよりも、しょっちゅう家族や仲間と時間を共有できるbBの方がはるかに満足度が高いです・・・マツダがいくら好調でもそれは決して否定できないクルマの価値です。そしてやはり今のマツダで最も安泰なモデルといえるのは、もちろんCX5です(仲間や家族と楽しめる?)。素人が言うのもなんですが、マツダがこれからユーザーに長く支持されるためには、トヨタのロングセラーをもっとよく研究したらいいんじゃないか?と思います。

  トヨタ・ロングセラーの秘訣とは? まずは「適性な価格」と「納得できる品質」そして・・・ちょっとマヌケかな?と思うくらいに平易なデザイン。別にトヨタデザインを揶揄しているわけではないですよ、あくまでクルマのイメージと乖離しないくらいの地味なデザインだからこそ、選んでくれるユーザーがいるんじゃないの?と思うのです。地味だからこそ飽きがこないデザインにもなります。実際はアイシスもbBもフェイスリフトをしたりしてはいますが・・・。

  もちろんマツダは他のブランドよりもデザインで目立っていこう!という攻めの姿勢を貫いているようですから、世界に向けて華々しくデビューできる抜群のプロポーションを社是とすることに異論はないです。ただしトヨタのようなロングセラーとして「楽」をすることは許されないですし、やがては(もうすでに?)メルセデスやBMWのような過激なサイクルに巻き込まれて、限りある開発資源を使い果たしてどんどん消耗し、ひとたび冴えないデザインのクルマが出てしまったら猛烈に叩かれてユーザーがサッと潮が引くように去っていきます。メルセデスやBMWのここ数年の興亡を見ていればある程度は察しはつくと思います。

  さらにもうひと言付け加えるならば、マツダがこだわっている「MT」設定は、もうちょっと地味なモデルで展開してくれるといいなと思います。デミオにしてもCX3にしてもちょっとデザインが派手すぎで、どちらも落ち着いてゆったりと2ペダルで運転するのが合っているクルマに見えます。先代アクセラのようなアクティブでそして身近でとても親しみがわくデザインを継承するようなモデルがあると、MT車で林道とか走りたくなります。ジムニーみたいな超ロングセラーになるのでは!?

  先代アテンザの1年後に登場したマークXはまだまだモデルサイクルが続くようです。多少の値上げはあったようですが、人気のFRシャシーに2.5Lの6気筒エンジンを搭載して250万円という価格設定を未だに維持していて、直4でFFのティアナ、アテンザ、あるいは直4AWDのレガシィと比べてもかなり割安です。そのせいか一時期と比べて人気が再燃してきているようです。「クラウンアスリート3.5S」の524万円に比べて、「マークX3.5プレミアム」の370万円は同じエンジンが乗っていることを考えると・・・やっぱりかなりお買い得です。さすがに伝統の高級車だけあって、マツダがドヤ顔で採用してきたオルガン式ペダルなんて最初から付いてます!

  同じ3.5L自然吸気エンジンですが、クラウンとマークXを差別化するのが、8ATと6ATの違いなんですけども、燃費を重視するなら8AT、スポーティに乗るなら6ATとキャラが分けられているので、これは好みの問題です。BMWは8ATでミニは6ATなんですが・・・そして走り好きの多くはもちろん・・・を選びます。ミッションを手掛けるのはトヨタ傘下のグローバルサプライヤー・アイシンAWです。BMWが使うZFとはシェアを2分するくらいに世界的にも人気が高いミッションです。ちなみにミニやFFのBMWでもアイシンAW製が採用されています。

  トヨタのラインナップを見渡すと、マークXと並んで目を惹くのがエスティマです。トヨタの先進性を世界に示すグローバルモデルとして広く知られた存在で、プリウスと同じで伝統のセンターメーター(左右のハンドルに対応?)を採用しています。ただし初代エスティマが北米や欧州でも華々しく販売されたのに対し、3代目となる現行モデルは、オセアニアとアジア向けしか海外展開はしていないようです(グローバルではそこまで勢いがないのは残念)。国内市場でもトヨタのミニバンといえばアルファード系それからヴォクシー系そしてシエンタ系の3段階が「メインストリーム」として確立されていてますが、それでもそれとはちょっと距離を置いたところで高級ミニバンという地平を歩き続けてきたエスティマの存在感は独特の重みがあります。

  トヨタ自慢の3.5Lエンジンが積まれるグレードが354万円〜。これはなかなかお手頃じゃないですか?さらに高級感を高めるのに必須なレザーシートのグレードだと407万円。高いか安いかは判断が分かれるでしょうけども、最近では400万円するホンダのオデッセイHVアブソルートがバカ売れしたりしてます。・・・400万円のマークX(レザーだと約400万円)とエスティマ。もはやBMWやメルセデスの方が同じサイズで安く買えるくらいではあるんですが、300万円台で買える「なんちゃってプレミアム」なんて下らないです。マークXやエスティマには3.5L自然吸気というドイツ車がもうとっくに失ってしまった豊かなフィールのエンジンが付いてきます。これは文句なしの「高級車」です。

  100~200万円台の大衆モデルと400万円くらいの高級車。レクサスとかインフィニティとかグローバル価格で売れるならそれでもいいですけど、この2つの基準価格を念頭に各メーカーがしっかりとクルマを造り込んでくれると、もっともっとクルマは魅力的になると思うのですが・・・。やはり直4で400万円といった価格設定を見かけるとテンション下がりますね。そして直4で600万円とか・・・アホか!って感じです。

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posted by のっち at 03:27| Comment(0) | トヨタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月15日

カローラが再び日本車の顔になるために・・・

  7代目になる現行VWゴルフが販売戦略上のターゲットに掲げていたのがトヨタのプリウスだったようで、ゴルフ7が発売してしばらくはVW側からプリウスを強く意識したコメントが連発されていました。実際のところプリウスを買っているユーザーの多くは、ゴルフのようなコスパの悪いと感じられるクルマには興味は無いはずなんですが、それでも「一定の高級感」(安物じゃないぞ!)みたいな見栄の部分で選ばれるクルマの代表格がこの両車であることは確かかもしれません。

  街中で見かけるゴルフは4~7代目まで幅広いですが、やはり6代目、7代目が上質感を良く表現できたデザインで感心します。日本にもこういう伝統のモデルが欲しいですね。フィットにしてもアクセラにしてもまだ3代目になったばかりで、実力はともかく伝統に関してはまだまだ駆け出しでしかないです。もちろん日本の自動車産業の歴史はVWに引けをとりませんから、シビックやファミリアといった伝統のモデルがありました。ファミリアはフォードグループのグローバルモデルであるアクセラに引き継がれ、シビックは欧州や米国では継続して販売されています。

  80年代のBEファミリアやEFシビックは、世界の頂点を狙った日本車ハッチバックの転機となった意欲作ですが、控えめなデザインが災いしてか当時はかなり売れたにもかかわらず、バブル期を経てその評判が残ることはなく、現在ではビンテージカーとしてもあまり人気がないようです。1987年に高級車顔負けの4輪ダブルウィッシュボーンで登場したEFシビックは、現在人気になっているゴルフ、Aクラス、ボルボV40などの原点といってもいいクルマだと思います。1980年に登場したBEファミリアも独立担荷式サスを後輪にも使って、これまでのイメージを完全に覆す出来映えだったそうです。そしてこれがホンダの技術者魂に火を着け、EFシビックのハイスペックな足回りはどうやらホンダからマツダへの挑戦状的な意味合いがあったようです。しかし皮肉なことに同時代の同サイズのモデルで最もその存在を後世に知らしめたのは、トヨタのAE86なんですよね・・・。

  マツダとホンダの技術屋気質の高さは、今後の過当競争の危険も孕んでいましたが、フォード傘下となっていたマツダは単独での小型車開発において、ホンダへの対抗意識を剥き出しにすることはできなかったようです。ただその後の戦略はひたすらに安易そのもので、ホンダが仕掛けたプレリュードに日産が過剰反応してシルビアを仕立てて、そのどちらも大ヒットする中で、同タイプのクーペをファミリアから派生させて、日本市場では見事に大惨敗を喫しました。残念ながらファミリアアスティナやその後継のランティスがトヨタのカリーナEDのような「4ドアクーペ」のオリジナルと語られることはありません。現在4ドアクーペが高級車を中心にドイツブランドから多く出ていますが、ドイツで高く評価されたのはカリーナEDではなくMS-8やランティスといったマツダ勢なんですけどね・・・。

  ちょっと話が横道に逸れましたが、シビックとファミリアによる争いがバブルの収束で下火になった1998年に欧州で初代フォード・フォーカスが発売されました。このクルマはすぐに欧州で大ヒットを記録し、VW陣営はこのフォーカスの開発陣を引き抜いて5代目ゴルフを開発させ巻き返しを図りました。フォードは1980年に欧州市場でフォーカスの前身車種であるエスコートが、マツダのFF化されたファミリアとともに4輪に独立担荷式サスペンションを装備して登場します。ファミリアはフォード・レーザーとして供給されたので、フォードのCセグは1980年の段階で世界トップレベルの実力を持ちました。最大の狙いは1974年に登場したジウジアーロデザインの初代ゴルフを受けてのことだったようです。

  やがて欧州フォードが製造するエスコートはトーションビーム(車軸式)へとコストダウンされてしまいます。その後に不調に陥ったエスコートをテコ入れし根本的に作り替えるために、再び独立担荷式サスに戻したモデルが先ほどの初代フォーカスです。このフォードの動きと呼応したのが1980年代当時に欧州で大きなシェアを持っていたローバーで、こちらはマツダのライバルのホンダと資本提携をし、シビックの兄弟車のバラードをベースに独立担荷式サスを装備したローバー200が投入されます。しかし経営基盤がしっかりしなかったローバーはこのクルマを大きくヒットさせることは出来なかったようです。

  ちょっとややこしい話になりましたが、マツダとホンダによる競争は欧州市場へと大きく飛び火し、欧州のCセグがグローバル車へと発展していく上での重要なポイントになったことは間違いないです。ほかにもスズキや三菱の小型車技術も現在活躍する欧州の小型車に大きな影響を与えました。それにもかかわらず、日本メーカーにはブランド力のある車名を守り続ける努力が足りないようで、VWゴルフのような重みのあるモデルは日本車Cセグには見当たりません。いや・・・一応トヨタにカローラという伝統の車名が残っています。しかしカローラには現在の日本市場で大きく存在感を示せるものが残念ながら希薄です。

  欧州では一時期オーリスの前身モデルにカローラと名付けて販売していました。トヨタ得意のトーションビームをわざわざダブルウィッシュボーンに代えて欧州市場専用モデルとして発売し、ドイツなどでも一気に市民権を獲得するなど、上々の評判を得ていました。日本でもカローラランクスという名称で販売され、上級モデルにはセリカやロータス・エリーゼに使われていたヤマハ製の高回転ユニットが搭載されるなど、今でも愛好家が多いトヨタのモデルの1つです。

  その後のモデルでは商売気を出し過ぎて、販売チャンネルをカローラやネッツからトヨタへと切り替えたのが失敗の始まりだったように思います。廉価モデルをオーリスに、上級モデルをブレイドにそれぞれ分けて販売するようになってから、「つまらない」オーリスと「高価過ぎる」ブレイドという評価に落ち着いてしまいブームが一気に下火になったのがとても残念でした。世間一般ではCセグではゴルフという世界的モデルに対して、マツダの最新のアクセラがせいぜい張り合えるくらいだという評価に落ち着いているようです。これまでの日本車メーカーの開発力によって支えられているCセグなんですけどね。これまでの日本メーカーにブランドを作る力が欠けていたのが惜しまれます。

   
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posted by のっち at 02:15| Comment(0) | トヨタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月07日

トヨタ86 を日常の足に!というのは何か違う

  ドライブにはとても良い季節の3連休でした。東京西部の幹線道路を走っていると、ルーフを開け放ったボクスターが隣り車線を気持ち良さそうに駆け抜けて行きます。ちょっと抽象的で恐縮ですが、「これこそがクルマの醍醐味なんだ!」と全身から嫌というほどに発信してくるのがポルシェですね。それにしてもとことん洗練されたデザインが眩しい限りです。そして理想の2シータースポーツカーとして全てが過不足ないサイズ感に収まっているのもとてもいいですね。スーパースポーツやマッスルカーのような周囲を威嚇するような、品のなさもないですし、フェアな視点で見てとても自然体に見えるポルシェの入門車ですし、このクルマを見る度に日本で異例のヒットを記録したのがよくわかります。

  ボクスターでもベースグレードで軽く700万円するので決して安くないですが、真剣に検討したときに3.5Lのクラウンアスリートと比較してみても、タイプこそ違いますが大きな遜色はないので、ポルシェにしてはかなりコスパがいいことが分ります。多少無理すれば買えてしまう辺りが悩ましいところで、せっかく買うならポルシェかな?と決断する人も少なくないと思います。そもそも3.5Lのクラウンマジェスタはそれほどお買い得というわけではないかもしれません。「居住性」のクラウンと「走りとデザイン」のボクスター・・・どちらも非常に高い水準にあることは間違いないです。

  ボクスターを買う人の背中を力強く推すのは、やはり非日常の領域を十分に実現しているエンジンと走りだと思います。スポーツカーが醸し出すシンプルなファン・トゥ・ドライブということならトヨタにも86があります。このクルマの最大の魅力を一言でいうならば、従来のトヨタ車に対する「アンチテーゼ」です。スカイライン、WRX-S4、ゴルフGTIといった最新のマルチ性能を備えた各メーカー渾身の自信作は、どれも素晴らしい出来映えで創造性すら感じるわけですが、やはりボクスターや86のような専用設計スポーツカーはそれらの万能車をまるで嘲笑うかのように、構造の「シンプルさ」だけで、走る喜びを見事に演出してしまいます。そういえば昔のクルマってこんな乗り味だったような・・・なんて忘れかかっていた感動を見事に呼び起こしてくれます。

  アクセル踏んだら動き出して、ブレーキ踏んだら止まる。そんな自動車運転の大前提も追従クルーズコントロールの普及で変わってきています。追従クルコン以外でも最近のクルマはアクセルオンにしてから動きだすまで、しばらく間があったりします。どれくらい燃料出して、どれくらいエンジンまわして、どれくらいトラクションを配分して・・・クルマのコンピューターがあれこれ考えてから動き出している過程はしばしば「ダルい」と感じてしまいます。高級車になればなるほどに仰々しいほどの”シンキングタイム”が設けられ、ダウンサイジング&車重増加の傾向から、昔のクルマにあった動きだしのキビキビ感はかなりスポイルされています。メルセデス・VW・トヨタ・日産・スバル・マツダといった好業績へと推移しているメーカーの最新モデルほどこの傾向は露骨に感じられます。

  キビキビ走りたかったらスポーツカーに乗りなさい!まあ正論ですね。それでもトヨタ86だからってキビキビ感があるか?というと、意外にそうでもなかったりします。待たされてもイライラしますけど、過敏すぎてもヒヤヒヤで落ち着かないというのもよく分りますが、86のアクセルフィールはトヨタによって「計算」されていて、そのユーザーの主体となる年齢層をも考慮して、中間の絶妙なところを狙っています。スポーツカーとしてアクセルワークにじりじりと神経を使うようなセッティングではなく、あくまでニュートラルなフィーリングを目指して開発されているのだと思います。だからといって単純に高齢者向けの緩いスポーツカーと批判するつもりもありませんし、私のようなマツダ車のアクセルやハンドリングのフィールを好むユーザーにとっては、むしろとても魅力的なクルマです。

  さきほど「アンチテーゼ」と書きましたが、トヨタの考えとしては「ハイブリッドとの対比」あるいは「プリウスの懺悔」という意味で、ブランドにとってとても存在価値のあるクルマだと思います。日本の自動車の基本設計のあり方を「ハイブリッド」へと変えたのは、実際のところトヨタ1社の全力投球によるところが大きいです。市場で流通するクルマのアクセルフィールはHVの販売比率が高まるにつれ、良く言えば穏やかで安全なものになり、悪く言えば鈍くてつまらないものになっているような気がします。86のアクセルフィールも「スポーツカーはやっぱり凄い!」という感動ではなく、「10年くらい前に乗ってたクルマはこんな感じだったな・・・」というノスタルジーに近いです。

  10年前のクルマと同じフィールを再現しただけなのに、支払い総額で300万円を軽く超えてくるという価格設定にはいろいろな意見があるかとは思います。あまり言われることは少ないですが、車体剛性の高さを意外にも強く感じられるのがこの86です。その点を評価するならば価格設定は納得できるのですが、逆にもっと上屋部分はもっとしなやかで、シャシー剛性を特に重視する設計が、かつての日本の高性能車に共通する美点だったことを考えると、なんとも言えない重苦しさを感じます。86が瞬く間に海外でも高い評価を受けるようになったのは、このドイツ車的というか先代ゴルフを思い出させる車体の剛性感と、日本車的なライトウエイトスポーツが不思議な調和をしたような質感が新鮮に感じられた結果が良い方向に出たと思います。

  86の乗り味は、最終型セリカ、MR-S、マツダロードスターといった日本のお家芸ともいえるライトウエイトスポーツの伝統とは、大きく違うところにあって、発売当初からターボを積んでほしいという声も相当にあったようです。トヨタは安易なターボ化には難色を示しているという噂ですが、車体にあったパッケージを模索すると、300ps以上の出力というのも日本人が大好きなBMWを彷彿とさせる感じで、なかなか説得力のある結論じゃないでしょうか。

  この86を日常の足として、ハッチバックのファミリーカー的な使い方をする人も多いようです。トヨタはその需要を見越して2+2シーターとして開発するなど完全に色気を見せているわけですが、やはり乗ってみると趣味性の強いセカンドカー的な設計に「圧倒」され「圧迫」されるので、日常の使用でこれはさすがに苦しいのではないかという気がします。トヨタの鋭い狙い(ミーハー?)とは、微妙にズレていてスバルの堅物っぷりがクルマの雰囲気を独特のものにしています。日常のクルマというとVWゴルフのような無機質なデザインをイメージするかもしれませんが、むしろ日常のクルマこそ色気がほしい気がします。普段はマツダ・アテンザのようなクルマに乗って、たまの休みにはマツダ・ロードスターのようなストイックなスポーツカー・・・なんて選択が正しい気がします。

  トヨタ86はそういう意味でも日常のクルマにはどうも相応しくないです。かといってスポーツカーとしてのピュア度にもやや疑問があります。確かにドライブフィールは一般的なクルマよりも良好で、アクセルレスポンスもハンドリングも申し分ない水準に達しています。さらにブレーキのフィールをポルシェくらいにガツンと効くものにすれば、さらに良いクルマになりそうな予感はあります。ただしその過程はトヨタが狙う「マルチタスク」なスポーツカーとは逆の方向への進化になります。トヨタはここから先の打開策としてG’sなどのさらに濃いスポーツ性を有するコンプリートモデルを予定しているようです。

  デビュー当時のコンセプトのまろやかさで、ある程度のユーザーをスポーツカーへと引き摺りことに成功した86は素晴らしい戦略が光るプロジェクトでしたし、大成功だったと思います。しかし西川淳さんが今月のニューモデルマガジンXで「86は魔性ではない!」という慧眼を披露されてらっしゃいますが、やはり日常でも非日常でもなかなかハマらない収まりの悪さはあります。共同開発しているスバルはこの手の演出があまり上手くないので、トヨタはもっとリーダーシップを取って大胆にクルマを改良していく必要があるのかなと思います。ぜひ今後に期待したいモデルです。

  
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↓トヨタが本気だせばすぐに追いつけそうだけど。


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